『生命の不思議』

ここ数日、ある本を読んでます。十数年前に強い感銘を受けた『DNAと意識の進化』の著者、柳澤桂子さん『生命の不思議』という本です。
私は柳澤さんの文章を読んでいると、つよくて澄んだ光に、自分の澱んだ何かが浄化されるような気持ちになります。1年ほど前に三宮麻由子さんの『鳥が教えてくれた空』を読んだ時にも、たしか同じような気持ちになりました。二人の文章に共通することがあります。柳澤さんは病で動けず、三宮さんは視覚がありません。そのため、彼女達は自分が活用できる感覚を最大限に研ぎ澄まし外界を感じます。地上の美しさを、つぶさに掬い取り、味わいつくし、大切にします。
特別な聖地や儀式の場ではなく、私達が毎日を暮らし過ごすこの場所に本当はいつもある美しさ。そのひとつひとつを心をこらして摘みとり蓄えた深い淵が彼女たちの内にはあります。彼女たちの文章が放つ澄んだつよい光は、その淵から発しているのでしょうか。